離婚のこと 第3話「離婚って、どういう時に出来るの?その①」

この前は、裁判離婚についてみるく先生に教えてもらいました。
それで、裁判離婚で離婚するためには、えーと、確か、次のどれかが認められないとダメなんだったかな。
民法770条1項
1号 不貞行為
2号 悪意の遺棄
3号 3年以上の生死不明
4号 回復の見込みのない強度の精神病
5号 その他婚姻を継続しがたい重大な事由

そうそう、よく覚えてたね。
じゃあ今日は、これら一つ一つについてみていこうか。

1 不貞行為

いきなりだけれど、不貞行為ってなにかな?

んー。それは、よく友達とかと話すやつやねえ。どこからが浮気?ってやつよねえ?

んーまあ、そうだね。その線引き、法律上はどう考えられていると思う?

お手てつないだら、ぷにすとん的には、浮気だなあ。

まあ、そういう考えも十分あるよね。ここは、すごく価値観のわかれるところだね。

で、結局?

一応ね、判例通説は、「自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性交を行うことをいう」としているよ。
もっとも、一夫一婦制の貞操義務に違反するすべての行動という説もある。

 

ええー!!じゃあ、性交しなければなんでも良いの?

そうではないよ。性交をしていなければ、「不貞行為」には該当しないというだけさ。
行き過ぎた関係は、5号(その他婚姻を継続しがたい重大な事由に該当する可能性がある。

えっちなお店は?

風俗店はねえ、微妙なんだよね。
まあでも、自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性交を行うんだから、判例の定義に従えば、不貞行為と言わざるを得ないだろうね(但し、これを否定する裁判例もある)。

 

2 悪意の遺棄

悪意の遺棄って、なんだったかな。前も出てきたな。

悪意の遺棄って、聞き慣れない言葉だもんね。
まあ、簡単にいうと、身勝手に夫婦としての義務を果たさないことだね。
正しくは、正当な理由無く民法752条の同居・協力・扶助義務を履行しないことをいうよ。

うーむ。余り想像がつかないな。子供の世話をしないとか、そういうこと?

うん、それもあり得るね。
典型的には、配偶者が病気になったのに、それを看病せず家を出て行くとかだね。

正当な理由があれば、悪意の遺棄に当たらないこともあるってこと?

うむ。配偶者の一方がDVをして、これが原因でもう一方が家を出た場合、これは同居義務には反していることにはなるけど、正当な理由があるってことになるよね。

なるほどぉ。

3 3年以上の生死不明

これはなんとなくわかるな。蒸発しちゃって、手がかりもない、そういうことでしょ?

まあ、そういうことだね。
正確には、生存の証明も死亡の証明もできない場合をいうよ。

生死不明の場合でも、やっぱり離婚調停からしなきゃならないの?調停って話し合いの場よね?そんなのくるわけないよねえ?

お、いいところに気がついたね。
そう、生死不明の場合は、調停をせず、いきなり離婚訴訟を提起することができるんだよ(家事事件手続法257条2項ただし書)。

4 強度の精神病

強度の精神病って、なに?

強度の精神病って言うのは、統合失調症とか、躁鬱病などのことをいうよ。
アルコール中毒は、ここでいう「精神病」には該当しない。
でも、アルコール中毒の場合は、5号に該当し得る場合があるよ。

えーでもでも、精神病っていうのは病気なのよねえ?統合失調症とか、躁鬱病とか、そういうときこそ、夫婦は共にいなきゃいけないんじゃないの?離婚しようなんて、それこそ、悪意の遺棄じゃない!

もっともだね。
だからね、ここでいう、強度の精神病の「強度」とは、その精神障がいの程度が婚姻の本質とも言うべき夫婦の相互協力義務、ことに他方の配偶者の精神的生活に対する協力義務を十分に果たし得ない程度に達しているか否かによって決すべきとされているよ。

む?

まあ、かみ砕いていうとね、とにかく、精神病がひどくて、もう夫婦の協力義務とか言ってる場合じゃないねって、そういう状態にまでなってるかどうかってことだね。

なるほどなあ。でもさ、そんなどうしようもないくらいの精神病医を患った配偶者を放っておいて、本当にそれでいいの?離婚して、ハイさよなら、それはあまりにもひどすぎない?

うんうん、その通りだね。1度は愛し合った夫婦。病気がいくらひどいからって、それを理由に、ハイさよならっていうのは、なんかさみしいし、道理に反する気がするよね。その点については、次のように判示した最高裁判決があるよ。

民法770条1項4号と同条2項は、「単に夫婦の一方が不治の精神病にかかった一事をもって直ちに離婚の訴訟を理由ありとするものと解すべきでなく、たとえかかる場合においても、諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等についてできるかぎりの具体的方途を講じ、ある程度において、前途にその方途の見込のついた上でなければ、ただちに婚姻関係を廃絶することは不相当と認めて、離婚の請求は許さない包囲であると解すべきである。」

んーつまり、どういうこと?

つまりはね、いくら強度の精神病であっても、精神病になってしまった配偶者が、離婚後もしっかりと生活できる状況を作れていないと、精神病を理由とした離婚は認めないよ、そういうことだね。

具体的な方途ね。んー、例えば?

色々あるけれど、療養費を毎月払うことを約束するとか、入院先をしっかりと確保するとか、そういうことだろうね。

なるほどぉ。

5 その他婚姻を継続し難い重大な事由

これがね、非常に重要な規定なんだね。
1号~4号に該当しなくても、5号に該当するから離婚できる、そんな事例は山ほどある。

なるほど。1号~4号にあたらないけど、これで離婚できないなんておかしい!っていう時、5号が役に立つのね。例えば、DVとか?

うん、まさに典型例だね。

他に、どんな場合がこれにあたるの?

いや、実はね、これについて細かく説明すると長くなるから、今日はこのくらいにしておこう。

わかりました。

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