離婚のこと 第1話「離婚の方法は5つもある!?~協議離婚・調停離婚編・審判離婚編~」

1.はじめに

みるく先生!!!今日は「離婚問題」について教えてください。

離婚か、あまり穏やかな話ではないね。
でも、あるデータによると、今や3組に1組が離婚する時代だ。法律家としては無視できない分野だね。

3組に1組!複雑だなぁ。

それじゃあ、今日は手始めに、離婚の方法について学んでいこう。

離婚の方法には、次の5つがあるよ。

①協議離婚(民法763条)
②調停離婚(家事事件手続法244条)
③審判離婚(家事事件手続法284条)
④和解・認諾離婚(人事訴訟法37条1項)
⑤裁判離婚(民法770条)

5つもあるの。

そうなんだ。

ドラマとかの影響で、⑤裁判離婚のイメージが強いかもしれないけど、実は、⑤裁判離婚は全体の1.2%に留まる(厚生労働省データ)。

以外と少ないのね。

一番多いのは、①協議離婚で、実に全体の87.3%を占める(同)。

ふむふむ。

それじゃあ、順番にみていこうか。

はい。

2 協議離婚

(1)離婚届不受理申出制度
協議離婚は、a離婚の意思と、b離婚の届け出によって成立する。
・・・シンプルだね。

要するに、離婚届を戸籍係に届ければOKってこと?

単に届け出るだけでよいということではないよ。
届出時に、a離婚意思(「相手と離婚するぞ!」という意思)双方になくてはならない。

なるほどなぁ。じゃあ、一方によって離婚届が偽造されたような場合は、a離婚意思がないから、離婚は成立しないんだねぇ。
でも、勝手に離婚届を偽造されて、提出されちゃって、受理されちゃうなんてこともあり得るの?

それはあり得るね。

ええ、そんなの、こまっちゃうなぁ。ぷにぃ。

そういう危険があるときはね、離婚届不受理申出制度を用いればいいよ。

なんなのそれ?

あらかじめ、自分以外の人間が離婚届を提出してきても、それを受理しないように、本籍地または所在地の戸籍係に届け出ておく(不受理の申出)。
そうすると、戸籍係は、何者かが離婚届を提出してきても、それが本人(=不受理を申し出た者)でない限り、離婚届を受理しないという運用をしてくれるんだ。

わあ。それは助かるね。でもでも、「あらかじめ」なんだよね。不受理の申出をし忘れちゃって、偽造された離婚届が受理されてしまったらどうすればいいの?

その場合は、離婚無効確認の訴えを提起しなければならないね。
但し、調停前置主義が採られているので(人事訴訟法244条)、訴訟を提起する前に、まずは、家庭裁判所に調停を申し立てる必要があることに注意だね。

3 調停離婚

次は、調停離婚、ね。

うむ。ドラマ等では、いきなり裁判をやっているイメージがあるかもしれない。
でも、さっきと同じで、原則として、離婚訴訟を提起しようとする場合は、まず家庭裁判所に「調停」を申し立てなければならないんだ(家事事件手続法257条2項本文)。

家庭裁判所かぁ。聞いたことがあるなぁ。家庭裁判所ならどこでもいいの?

それは、いわゆる管轄の問題なんだけど、離婚調停を申し立てる裁判所は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所または夫婦が合意で定める家庭裁判所ということになっているよ(家事事件手続法第245条第1項)。

ええ。じゃあ、相手が遠いところに住んでたら、そこまで出向かないといけない?

中間地点で合意でも出来ればよいけど、出来ないなら、そうなるね。

子供なんていたら大変ね。

そうだねえ。

調停って言うのは、どういうものなの?

調停というのは、裁判と似ている部分もあるけど、違うところも多い。例えば、裁判は公開が原則だが、調停は非公開。また、調停も裁判も、裁判官を交えて行われるけど、調停には、裁判官1人の他に、男女1人ずつの調停委員という人も入る。

その、裁判官と調停委員さんが最終的な判断を下すの?

いいや、そこも裁判とは違うんだ。
調停の場合は、当事者の話し合いの結果がもっとも重要になる。
調停委員を交えて話し合って、当事者が双方納得できる妥協点を探求する。調停というのは、そういうものだね。

離婚以外のことも話すことができるの?

子どもの親権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割などの離婚条件についても話し合うことができるよ。いろんなことについて、柔軟な解決が可能というところだね。

期間はどれくらいかかる?

 

まあ事案によりけりだけど、僕の経験では短くて半年、長くて2年ってところかな。

結構かかるのね。

そうそう。これがなかなかやっかいなところ。当事者も気力を保つのが大変さ。

話し合いの結果、納得できる結論に達することができなかったら?

調停は不成立。訴訟だ!ということになるね(但し、後述の「審判離婚」もある)。

そんなに長く争って、結局不成立の場合もあるのかあ。なんかむなしいよねえ。ぷにぃ。

まあでも、いろいろな条件に納得できないまま離婚するよりは、時間をかけてでもしっかりと話し合って、新たなスタートを目指す方がいいんじゃないかな。

4 審判離婚

調停が不成立になると訴訟だ、と言ったけれど、実は、利用件数は少ないけど、審判離婚というものがあるんだ。

審判離婚ねえ。ほんとややこしいよねぇ。

まあまあそういわずに。
せっかく調停をして、離婚について話がまとまりかけても、養育費とか、細かなところで折り合いが付かないせいで、全てのことを時間のかかる訴訟手続に委ねてしまうのは、なんか、もったいないという気はしない?

まあ確かに、せっかく調停をやってきたのだから、その結果は十分に活かしたいよねえ。

そこで登場するのが、審判離婚。これは、家庭裁判所が相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のために必要な審判をすることができる(家事事件手続法284条1項)、という制度なんだ。
審理も、当事者のプライバシーに配慮し、非公開で行われる。

???

まあ平たくいえば、訴訟手続きよりは簡易な審判手続で、これまでの調停での話し合いを鑑みて、「えいや!」と裁判官に一定の結論を出してもらう、ということだね。

調停での話し合いを活かしつつ、最終の結論を裁判官に委ねるという感じかな。

そうだね。

でも、その審判の結果に納得できない場合もあるよねえ?

そのケースも十分あり得るよね。
その場合は、2週間以内であれば、当事者は異議の申立てをすることができるよ。異議が申し立てられると、審判は効力を失う(家事事件手続法286条)。
そうすると、残る手段は裁判離婚ということになるね。

異議を申し立てるだけで、審判はなかったことになるのね。審判離婚という制度は、あまり意味がないような気がするね。

確かに、そういう意見もある。でも、裁判官に一定の結論を導いてもらうことで、一区切りつくし、「裁判官がそういうなら」といって、当事者が納得するというケースもなくはない。

早期解決にもつながるしね。

そういうことだね。
ケースバイケースだけど、有効利用したいと思うよ。

次は裁判離婚かしら?

うむ。でも今日はもう遅いから、裁判離婚については明日話すことにしよう。

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